Column オフィスITのお役立ちコラム
ITのお悩み・最新トレンドをやさしく解説。
業務に役立つノウハウを発信しています。
2026.02.17
BCP対策とは?中小企業が今すぐ始めるべき事業継続計画の基本

「災害が起きても事業を続けられますか」といった問いに自信を持って答えられる中小企業は多くありません。インフラの被災、サイバー攻撃によるシステム停止などといった予期せぬ事態に備え、BCP(事業継続計画)を立てましょう。
ここでは、BCP対策の基本から具体的な実践方法につき、要求の大きいIT面での対策を中心に解説します。
BCP対策の基本
BCP(Business Continuity Plan)とは、災害やシステム障害などの緊急事態が発生しても、企業が事業を止めずに継続できるよう、あらかじめ準備しておく計画です。事業継続計画とも呼ばれ、その内容は、重要なリスクに備えつつ、リスクが現実のものとなったときの対応方法を定めるものです。
BCP対策が注目される背景
BCP対策が企業にとって重要な経営課題として注目されるようになった直接のきっかけは、2001年9月のアメリカ同時多発テロ事件です。この時、ニューヨークの世界貿易センター近くにあった金融機関などが、事前に準備していたバックアップオフィスを活用して業務を継続できたことが注目を集めました。さらに、2011年の東日本大震災では、多くの企業がサプライチェーンの寸断や電力不足によって事業継続が困難になり、BCPの重要性が改めて認識されることとなります。
日常の業務でも意識したい重要な問題は、自然災害の頻発化や感染症流行といった物理的なリスクではなく、サイバー攻撃・システム障害の脅威拡大などにより事業が継続できなくなるソフト面でのリスクです。不正アクセスによる情報流出や喪失があると、時として操業停止に追い込まれることがあります。
BCP対策と防災対策の違い
BCP対策と防災対策は混同されやすいのですが、両者には明確な違いがあります。理解を深めるため、目的や対象範囲の違いを見ていきましょう。
◼︎目的の違い
……防災対策は「災害を防ぐ、または被害を最小限に抑える」ことを目的としています。たとえるなら「転ばないように注意する」「転んでもケガをしないように備える」ための対策です。一方、BCP対策は「災害が起きても事業を継続する」ことが目的です。
◼︎時間軸の違い
……防災対策は主に災害発生前の備えに重点を置いています。耐震補強や消火器の設置、避難訓練の実施など、被害を防ぐための事前準備が中心です。これに対してBCPは、災害発生後の復旧計画も含めた包括的な計画であり「いつまでに、どのように」事業を再開するかといった発生後のシナリオまで想定します。
◼︎対象範囲の違い
……防災対策は主に人命と資産を守ることに焦点を当てています。従業員の安全確保や建物・設備の保護が主な対象です。一方、BCPは事業活動全体をカバーしており、顧客への供給責任や取引先との関係維持、資金繰りなど、企業経営に関わるあらゆる要素が対象となります。
防災対策はBCP対策の一部であり、両者は補完関係にあります。防災対策で被害を最小限に抑えつつ、BCP対策で事業の早期復旧を実現する、という二段構えで企業を守ることが重要です。
中小企業にBCP対策が必要な3つの理由

BCPの必要性は会社規模やステークホルダーの存在の大きさによる要求をされると誤解されがちですが、実は中小企業こそ災害や緊急事態に対する備えが不可欠です。中小企業がBCP対策に取り組むべき理由を掘り下げると、次のように言えます。
経営基盤が脆弱で事業停止のリスクが高い
中小企業は大企業と比べて経営資源が限られているため、一度事業が停止してしまうと立ち直れないリスクが非常に高いと評価せざるを得ません。
最も深刻なのは資金繰りの問題です。大企業であれば数か月間の売上ゼロにも耐えられる資金力がありますが、中小企業の多くは月々の売上で運転資金を回している状況にあり、事業所の稼働停止や取引先からの入金が停止する事態が起きると、あっという間に資金繰りが行き詰まってしまいます
代替要員や設備が限られていることも、中小企業の大きな課題であり、とくに人的資源に問題が起きるのは避けたいところです。大企業なら複数人で業務を分担できますが、中小企業では「その人しかできない仕事」が数多く存在するため、人的リスクが事業継続に直結するのです。
取引先からの信頼を確保できる
BCP対策は、取引先からの信頼を得るための重要な要素になっています。とくに大手企業と取引している中小企業にとって、この点は無視できません。
近年、大手企業はサプライチェーン全体でBCP対策を求める傾向を強めています。自社だけが万全の体制を整えていても、部品や原材料を供給する取引先が被災して供給が止まってしまえば、結局は製品を作れなくなってしまうからです。そのため、取引先選定の際にレジリエンス(緊急事態があっても事業を継続できる対応能力・回復力)を要求する企業が増えており、一部の業界では取引条件として明確に求められるケースも出てきました。
国や自治体の認定制度で支援を受けられる
企業のBCP対策は政策でも重要視されており、事業継続力強化計画認定制度(リンク)として実施を促すしくみが設けられています。本制度に基づく認定事業者は、実行の支援を受けられるだけでなく、設備投資につき特別償却16%を認める支援もあります(中小企業防災・減災投資促進税制)
BCP対策に対する政策上の支援はほかにもあります。ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金などの事業者向けの補助金制度では、事業継続力強化計画の認定事業者であることが加点対象となる場合があり、加点されるケースでは採択率や補助率での優遇が考えられます。
また、公共入札においても、アクシデント発生時の事業継続力は高く評価されます。自治体によっては、入札参加資格の審査や総合評価方式の入札で、事業継続力強化計画の認定を加点要素としているケースがあるのです。
7段階で進める中小企業のBCP対策の実務的な基本

BCP対策をどう進めればいいのか、具体的なステップが分からず悩んでいる方も多いでしょう。ここでは、中小企業が実践しやすい7つのステップに分け、実務的なBCP策定の流れを解説します。
基本方針を決める
BCP対策の最初のステップは基本方針の策定です。まずは自社の経営理念に立ち返って目的を定め、次に具体的な状況と対策を検討し、それらに優先順位をつけましょう。下にあるのは、BCP対策の基本方針の例です。
【製造業の基本方針例】
当社は、災害等の緊急事態が発生した場合においても、以下の基本方針に基づき事業の継続に取り組みます。
- 従業員とその家族の安全を最優先に確保する
- 主要取引先への製品供給責任を果たし、信頼関係を維持する
- 主力製品の生産ラインを3日以内に復旧し、代替生産を開始する
- ITシステムとデータを確実に保全し、業務の継続性を確保する
- 地域社会への貢献と協調を継続する
推進体制とチームを作る
基本方針が決まったら、次は実際にBCPを策定し運用していく体制を整えます。
まず必要なのが、BCP推進責任者の任命です。理想的なのは、社長や役員といった経営層が責任者となるべきでしょう。経営層が責任者になることで、意思決定のスピードが上がり、予算や人員の確保もスムーズになります。現実的に難しい場合でも、総務部長や管理部門の責任者など、社内で一定の権限を持つ人物を任命すると良いでしょう。
次に、部門横断的なBCP策定チームを編成します。BCPは特定の部門だけの問題ではなく、営業、製造、総務、経理、ITなど、すべての部門が関わるテーマです。各部門から代表者を選出し、それぞれの視点で意見を出し合える体制を作りましょう。たとえば5〜10名程度のチームを作り、月に1〜2回程度の定例会議を開催するイメージです。
自社だけでBCPを策定するのが難しい場合は、外部専門家やコンサルタントの活用も検討しましょう。一般的な案内だけであれば商工会議所や自治体でも相談対応可能ですが、具体的な提案・設計まで求める場合は、企業課題への対応につき実績のある民間の支援が必要です。
優先して守るべき事業を特定する
すべての事業を同時に守ることは、中小企業には現実的ではありません。限られた資源を最大限に活かすため、優先して守るべき事業を特定することが必要です。
まず実施したいのは、コア事業の洗い出しです。自社の売上や収益に大きく貢献している事業は何か、なくなったら会社が存続できなくなる事業は何かを考えましょう。このとき、顧客への影響度と社会的責任の観点からも評価も必要です。売上は少なくても、停止すると顧客に重大な影響を与える事業や、医療・インフラなど社会的に重要な役割を担っている事業は、優先度を高く設定すべきです。
これらの情報を整理するには、事業停止時の影響度マトリクスを作成すると分かりやすくなります。縦軸に「売上・収益への影響」、横軸に「顧客・社会への影響」を取り、各事業をプロットしていくのです。右上に位置する事業ほど優先度が高く、左下に位置する事業は優先度が低いと判断できます。
想定されるリスクを検討する
次に、優先度の高い事業から順に具体的なリスクのほか、アクシデントが発生したときの復旧の条件・目標を判断しましょう。
下にあるのは、製造業で発生しうるリスクと復旧条件の例です。これはあくまでも一般的な例であり、各企業の業態や保有する営業資産を考慮して検討しなければなりません。
【想定されるリスク】
- 地震による工場建屋・生産設備の損傷
- 水害による生産ラインの浸水
- サプライチェーンの寸断による部品調達の停止
- 基幹システム障害による受発注・生産管理の停止
- ランサムウェア攻撃によるデータ喪失
- 長期停電によるサーバー停止
災害発生時の復旧の条件および目標を決める
BCP対策では、アクシデントが発生したときの復旧の条件および目標が重要です。企業が設定すべきは、RTO(Recovery Time Objective:目標復旧時間)とRPO(Recovery Point Objective:目標復旧地点)です。
RTOは「どのくらいの時間で事業を再開するか」という目標であり、RPOは「どの時点のデータまで復旧させるか」という目標です。たとえば、RPOを「前日夜時点」と設定すれば、毎日バックアップを取る必要があり、「1週間前時点」でよければ週次バックアップでも許容されます。これらの目標を明確にすることで、必要な対策の内容が見えてきます。
ここで、製造業でIT面のリスクに絞り、復旧の条件および目標の例を紹介します。
◼︎受発注システム
- RTO:24時間以内に復旧
- RPO:前日の営業終了時点(毎日バックアップ実施)
- 理由:受注データの欠損は顧客との信頼関係に直結するため、1日分までの損失許容
◼︎生産管理システム
- RTO:24時間以内に復旧
- RPO:当日の作業開始前時点(毎朝バックアップ実施)
- 理由:生産計画と進捗データは当日分まで復旧しないと生産再開が困難
◼︎在庫管理システム
- RTO:3日以内に復旧
- RPO:2日前の夜間時点(2日に1回バックアップ)
- 理由:在庫は物理的な棚卸で確認可能なため、多少のデータ欠損は許容できる
◼︎製品設計図面・仕様書
- RTO:即座にアクセス可能(クラウド保存)
- RPO:リアルタイム同期(変更の都度自動保存)
- 理由:設計データは企業の知的財産であり、一切の損失が許されない
◼︎製造手順書・品質基準書
- RTO:24時間以内にアクセス可能
- RPO:変更時点(変更の都度バックアップ)
- 理由:製造再開に不可欠な情報で、最新版でなければ品質問題につながる
◼︎過去の取引履歴・見積データ
- RTO:1週間以内に復旧
- RPO:前月末時点(月次バックアップ)
- 理由:過去データは参照頻度が低く、多少古い時点への復旧でも業務に支障が少ない
具体的なリスク対策・復旧策を検討する
BCP対策の中心となるのは、災害・事故の防止策および復旧策です。IT関連の計画では、ソフト面での対策ではデータのバックアップ、ハード面での対策では停電・故障への備えが中心となります。BCP対策の趣旨に沿い、アクシデントを回避しきれなかった時の代替手段も必要です。
やはり製造業の例として、次のような立案が考えられます。
【物理的な対策】
- 重要設備の耐震固定、生産設備の高所への移設
- 協力会社2社(県外)との代替生産契約締結
- 主要部品・原材料の1週間分の安全在庫確保
- 従業員用の非常食・飲料水3日分の備蓄
【ソフト面の対策】
- 基幹システムのデータを毎日クラウドへ自動バックアップ
- 受発注データは社内サーバーと外部クラウドの二重保存
- 設計図面・仕様書をクラウドストレージに保管
- 無停電電源装置を設置し、3時間の稼働を確保
- 全管理職にリモートアクセス用VPN環境を整備
- ウイルス対策ソフトの全PC導入とセキュリティ教育の年2回実施
【代替手段の確保】
- 本社が使用不能時は第二工場(隣県)で最小限の業務を継続
- 停電時は携帯電話・タブレットから受発注の確認・返信が可能な体制
- 取引先との連絡手段:電話・メール・FAXの3系統を確保
- 重要な図面・データは紙でも1部ずつ印刷し、耐火金庫に保管
具体的なマニュアルを作成し、訓練する
BCPは計画を立てるだけでなく、具体的な実行方法について定めなくてはなりません。判断する必要があるのは、普段の業務で実際に何を行うか、アクシデント発生後の混乱のなかで何を・どの順で行うかです。
ここでも、製造業のITリスクを想定し、BCPの実行マニュアルの大枠を例として挙げます。
【平常時の定期作業チェックリスト】
◼︎毎週実施(担当:IT担当者・総務部)
- バックアップ実行履歴の確認
- サーバーのディスク使用率チェック
- セキュリティアップデートの適用状況確認
- ウイルス対策ソフトの定義ファイル更新確認
- 従業員の緊急連絡先リスト更新確認
◼︎毎月実施(担当:IT担当者・工場長)
- バックアップデータの保存先容量確認
- UPS(無停電電源装置)のバッテリー動作テスト
- リモートアクセス環境の接続テスト
- 重要データの暗号化状況確認
- アクセス権限の見直し
- サーバー室・通信機器室の環境確認
- 自家発電機の試運転
◼︎四半期ごと実施(担当:BCP推進チーム)
- バックアップデータからの復旧テスト
- 代替システム・予備機器の動作確認
- クラウドサービスのアクセステスト
- セキュリティ設定の見直し
- 緊急連絡先リストの全件確認・更新
- 取引先の連絡先・担当者情報の更新
- BCPマニュアルの内容見直し
- パスワード変更の実施
- インシデント対応手順書の見直し
【システム異常を発見した場合】
発見者(全従業員)が実施すること:
- 異常の内容を確認する(エラーメッセージ、画面表示を撮影)
- ほかのPCでも同じ症状が出るか確認する
- 社内ヘルプデスクに連絡する
- 自分の作業中データを可能な範囲で保存する
- 勝手に再起動したり設定変更したりしない
IT担当者が実施すること:
- 障害の範囲を特定する(全社的か、特定部署か、特定システムか)
- サーバー・ネットワーク機器の状態を確認する
- 外部サービス(クラウド、インターネット回線)の稼働状況を確認する
- ウイルス感染の疑いがある場合は即座にネットワークから隔離する
- 総務部長・社長に第一報(影響範囲と暫定的な原因推定)を入れる
総務部長が実施すること:
- 業務継続の可否を判断(手作業での代替可能性を探る)
- 影響を受ける取引先へ連絡が必要か判断する
- 外部サポートへの連絡要否を判断する
- 復旧目標時間(RTO)との比較で対応優先度を決定する
BCP対策を活きたものにする上で、訓練結果に基づいて計画を改善していくことも重要です。訓練をやってみると「連絡がつかない人がいた」「代替拠点の鍵の場所が分からなかった」といった課題が必ず見つかります。これらの気づきを記録し、BCPに反映させることで、徐々に実効性の高い計画に逃げられるのです。
中小企業が取り組むべきIT-BCP対策とは
現代のビジネスはITシステムなしには成り立ちません。顧客管理も在庫管理も経理処理も、すべてがPCやサーバーに依存している中、ITが止まれば事業も止まります。ここでは、中小企業が優先的に取り組むべきIT面でのBCP対策を解説します。
データのバックアップ・クラウド化
企業にとって最も重要な資産の一つがデータです。顧客情報、取引履歴、設計図、財務データなど、これらが失われたら事業の継続は不可能でしょう。だからこそ、データのバックアップとクラウド化は、IT-BCP対策の最優先事項となります。
社内システムの冗長化・二重化
冗長化・二重化とは、システムの構成要素を二重に持つことで、一方が故障しても残りで稼働を継続できるようにする対策です。聞き慣れない言葉かもしれませんが「予備を用意しておく」と考えればわかりやすいでしょう。
リモートアクセス環境の整備
災害で本社に出社できなくなっても、従業員の自宅などから仕事ができる環境=リモートアクセス環境があれば、事業を継続できます。導入の際には、社外ネットワークや端末を使用することを踏まえ、VPN(Virtual Private Network)や通信暗号化などのセキュリティ対策に気を配りましょう。
セキュリティ対策
IT-BCP対策において、セキュリティ対策は切り離せない要素です。サイバー攻撃によってシステムが使えなくなれば、災害と同じく事業が停止してしまうからです。具体的には、悪意のあるプログラム(ランサムウェアやマルウェア)の対策や、従業員へのセキュリティ教育、パスワードの定期的な変更などといったログイン情報の管理などが必要です。
BCP対策を進める上での課題と解決策
BCP対策が必要だとわかっていても、ノウハウ・人材・予算の不足が原因で進められないことがあります。ここでは、中小企業でよくみられるBCP対策における課題と、その解決策を紹介します。
何から始めればいいかわからない
BCP対策と聞くと「難しそう」「専門知識が必要」と感じて、最初の一歩が踏み出せない企業は少なくありません。しかし、完璧を目指さなくても、まずは小さく始めることが重要です。
最も手軽に始められるのが、中小企業庁や各地の自治体で配布する簡易版BCPテンプレートの活用です。用意されているテンプレートは、情報を書き込むだけで具体的な課題の可視化や対応方法がわかるしくみのものです。
人手と予算が限られている
中小企業にとって、人手と予算の制約は最も現実的な課題です。しかし、工夫次第でコストを抑えながらも実効性のあるBCP対策を進めることは可能となります。
BCP計画の策定時は、既存の業務フローを活かすよう心がけると良いでしょう。ゼロから新しい仕組みを作るのではなく、今ある仕組みをベースに「緊急時にはこう変更する」という考え方で計画を立てるのです。たとえば、すでに使っている社内チャットツールを緊急時の連絡手段として位置づける、普段使っているクラウドストレージをそのままバックアップ先として活用する、といった具合です。
ほかには、補助金制度の利用も検討しましょう。生産設備の増強にはものづくり補助金、DX推進やセキュリティ対策にはデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)とのように、BCP対策では、一定の要件を満たした事業者へ費用の一部を交付する制度が活用されています。
計画を作っても運用が続かない
「BCPを作ったけど、棚の奥にしまったまま誰も見ていない」という状況は、中小企業でよくみられるものです。作ることが目的化してしまうなど、さまざまな原因が考えられます。
BCP計画の継続運用にあたっては、次のような考え方で取り組むと良いでしょう。
◼︎年間スケジュールに組み込む
……毎年9月1日(防災の日)に安否確認訓練を実施、年度末にBCPの見直し会議を開催とのように、年間スケジュールにBCP計画をあらかじめ組み込みましょう。社内カレンダーに登録し、全員が認識できる状態にしておくことで、訓練や見直しが恒例行事として定着します。
◼︎日常業務との連携を意識する
……緊急時にしか使わない特別なしくみは、いざという時に「使い方を忘れた」となりがちです。たとえば、普段の業務連絡でも使えるチャットツールを緊急連絡にも使う、定期的なリモートワーク実施でVPN接続に慣れておく、といった具合に、平時から使う仕組みをBCPに組み込むことで、自然と体制が維持されます。
◼︎責任者に定期報告を義務付ける
……BCP担当者による毎月・四半期ごと・年度ごとの報告義務があれば、担当者および計画当事者による取り組みが促進され、経営層も関心を持ち続けることができます。
社内だけで運用を続けるのが難しい場合は、外部パートナーによる運用支援を検討するのも一つの手です。BCP支援サービスや、IT保守サービスの一環としてBCP運用をサポートしてくれる企業もあります。外部から定期的に声をかけてもらえることで、取り組みが継続しやすくなります。
中小企業のIT-BCP対策で外部サービスを活用するメリット

BCP対策を社内だけで完結させようとすると、専門知識の不足や人手不足という壁にぶつかります。そこで検討したいのが外部サービスの活用です。ここでは、とくにIT面でのBCP対策において外部サービスを利用するメリットを解説します。
専門知識がなくても適切な対策ができる
IT-BCP対策には専門的な知識が必要ですが、中小企業の多くはIT専任担当者がいなかったり、いても他の業務と兼任していたりするのが実情です。外部の専門サービスを活用すれば、この知識のギャップを埋められます。
対策の起点であり、とくに大きなメリットだと評価できるのは、現状診断と課題抽出から専門家の支援が得られる点です。ITに関連するリスクは、自社にノウハウや人材が揃っていなければ割り出すことすらできません。例として「このバックアップ方法では災害時に復旧できない」「このネットワーク構成には単一障害点がある」といった問題が挙げられます。
業界ベストプラクティスに基づく提案を受けられることも、IT-BCPでの重要なポイントです。BCP対策には「これが正解」という唯一の答えはありませんが、多くの企業で実績のある効果的な方法は存在するものです。外部の専門家は、さまざまな業界・規模の企業を支援してきた経験から、「この業種ならこういう対策が有効」「この規模の企業ならこのレベルから始めるべき」といった実践的なアドバイスができます。自社で試行錯誤するより、はるかに効率的に適切な対策を導入できるでしょう。
社内リソースを本業に集中させられる
外部サービスを活用する最大のメリットの一つは、限られた社内リソースを本来注力すべき業務に集中させられることです。
中小企業のIT担当者は、日々のトラブル対応、問い合わせ対応、機器の設定変更、ソフトウェアの更新など、ルーチンワークに追われがちです。これに加えてBCP対策まで担当するとなると、過重労働になり、本来やるべき戦略的なIT活用の検討や業務改善の提案に手が回らなくなってしまいます。外部サービスにヘルプデスク業務やシステム運用を委託すれば、社内のIT担当者は「守り」の業務から解放され、「攻め」のIT活用に時間を使えるようになるのです。
外部の専門家への委託は、専門スキル習得のための時間・コストを削減することで、結果としてコア業務に多くのリソースを割ける点でも評価できます。たとえば、クラウド技術、仮想化、セキュリティ対策など、それぞれの分野で深い専門知識が求められます。社内の担当者がこれらすべてを学ぶには、膨大な時間と研修費用がかかり、学んだ知識も数年で陳腐化してしまいかねません。外部サービスを利用すれば、すでに専門知識を持った担当者が、即戦力として現場に携わることになります。
継続的な運用・更新のサポートが得られる
BCPは一度作って終わりではなく、継続的な運用と定期的な更新が不可欠です。外部サービスを活用すれば「継続」という最難関課題をクリアできます。
IT-BCP対策を継続可能なものにすることは、その対策自体の有効性を向上させる点でも重要です。対策実行に特化した外部の担当者がいると、システム監視や定期メンテナンスがより緻密に行われるため、アクシデント発生の初動が早くなり、復旧の目標を容易に達成できるようになります。また、どのような計画においても重要なPDCAサイクルも、緻密なチェックと報告により、速やかにサイクルを回転させ最新の状況に対応できようになるでしょう。
まとめ
BCP対策は、災害やシステム障害などの緊急事態が発生しても事業を継続できるよう、あらかじめ準備しておく計画です。中小企業こそ、経営基盤が脆弱で事業停止のリスクが高いため、BCP対策が不可欠となります。
とくに現代のビジネスにおいては、ITシステムの停止が即座に事業停止につながるため、データのバックアップ、システムの冗長化、リモートアクセス環境の整備、セキュリティ対策といったIT-BCP対策が極めて重要です。しかし、専門知識や人員、予算が限られる中小企業にとって、これらすべてを社内だけで対応するのは困難でしょう。
タスネットのオフィスITサポートは、中小企業のIT環境を包括的にサポートし、BCP対策の実現を強力にバックアップします。「何から始めればいいかわからない」「IT担当者の負担を減らしたい」「専門知識がなくて不安」といった相談から、お気軽にお問い合わせ下さい。
IT環境管理業務を“まるごと”任せたい方へ
タスネットでは、お客様の状況に合わせた柔軟なITサポートサービスを提供しています。IT環境の管理業務に関するお悩みは、ぜひ一度私たちにご相談ください。
)
この記事を書いた人
関連記事