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2026.09.17
VLANとは?仕組みや選び方とメリット・デメリットを初心者向けに解説

VLANとは、1本の回線やスイッチを仮想的に複数のグループへ分け、部署や用途ごとにネットワークを整理できるようにする技術です。 この記事では、VLANの基本的な仕組みから種類、導入するメリット・デメリット、そして専任のIT担当者がいない会社が導入を検討する際の進め方までやさしく解説します。専門知識がなくても読み進められる内容になっているので、自社のネットワーク環境を見直すきっかけとしてお役立てください。
VLANとは、そもそも何か
VLANと聞くと難しい技術のように感じますが、仕組み自体はシンプルです。まずは基本的な考え方と、なぜ今この技術が注目されているのかを見ていきましょう。
VLANの仕組みを一言でいうと
冒頭でも触れた通り、VLAN(Virtual LAN)は1本の回線やスイッチを仮想的に分けて使うための技術です。同じ配線を使っていても、設定によってまるで別々のネットワークであるかのように通信を切り分けられるのが、VLANの基本的な考え方です。
たとえば営業部と経理部が同じスイッチにつながっていても、VLANを使えば互いの通信を混ざらないようにできます。物理的な線を新たに引く必要がないため、既存の設備を生かしながらネットワークを整理できる技術と考えると理解しやすいでしょう。
普段使っているLAN(ネットワーク)との違い
通常のLAN環境では、部署ごとにネットワークを分けたい場合、配線やスイッチそのものを別に用意するのが基本でした。工事や機器の追加が必要になるため、レイアウト変更のたびに手間とコストがかかっていたのが実情です。
VLANはこの考え方を大きく変えました。間仕切りのない広いフロアにパーテーションを立てるように、既存の配線はそのままに、設定だけでネットワークの区切りを作れます。工事を伴わずに済む分、変更への対応スピードも上がります。
VLANが注目される理由とは
近年、多くの企業でクラウドサービスの利用が広がり、社内ネットワークに接続する機器やサービスの種類が増え続けています。テレワークの普及により、社外から社内システムへアクセスする機会も日常的なものになりました。
こうした変化にともない、ネットワークを狙った攻撃への警戒も強まっています。警察庁が発表した2025年上半期のサイバー脅威情勢では、不正アクセス禁止法違反の検挙件数が177件、ランサムウェアの被害報告件数が116件にのぼり、企業を標的とした攻撃が引き続き発生していることが示されています。ネットワークを用途ごとに分離できるVLANは、こうしたリスクに備える手段のひとつとして関心が高まっています。
VLANの種類「代表的な2つの分け方」をやさしく解説

VLANにはいくつかの分け方がありますが、実務でまず押さえておきたいのは「ポートVLAN」と「タグVLAN」の2つです。それぞれの仕組みを見ていきましょう。
ポートVLANとは?差し込み口ごとに分けるシンプルな方法
ポートVLANは、スイッチにあるケーブルの差し込み口(ポート)ごとに、どのグループに属するかを割り当てる方法です。1番のポートは営業部用、2番のポートは経理部用、といった形で振り分けるイメージを持つとわかりやすいでしょう。
設定の考え方がシンプルなため、拠点数が少なく、機器の構成もそれほど複雑でない小規模なオフィスに向いています。反面、機器の増設やレイアウト変更のたびにポートの割り当てを見直す手間が発生する点は押さえておきたいところです。
■ポートVLAN:スイッチの「差し込み口」ごとにネットワークを分ける方法
タグVLANとは?1本の配線で複数グループを扱う方法
タグVLANは、通信データに「タグ」と呼ばれる目印をつけることで、1本のケーブルの中に複数のVLANの通信をまとめて流せるようにする方法です。フロアをまたぐ配線や、スイッチ同士をつなぐ配線を減らせる点が大きな利点です。
拠点間やフロア間でネットワークをやり取りする場面が多い会社ほど、タグVLANの恩恵を受けやすくなります。ポートVLANと組み合わせて使われることも多く、実際の設計ではこの2つを状況に応じて併用するケースが一般的です。
■タグVLAN:1本の配線に複数のグループの通信をまとめて流す方法
そのほかにも、機器のMACアドレスやログインするユーザー、IPアドレスの範囲などで振り分ける方法があります。自社に必要なケースは限られることが多いため、まずは代表的な2つの仕組みを押さえておけば十分です。
| 名称 | 簡単な説明 | 向いているケース |
| MACベースVLAN | 機器のMACアドレスで自動的に振り分け | 機器の移動が多い環境 |
| ユーザーベースVLAN | ログインするユーザーごとに振り分け | フリーアドレスオフィス |
| サブネットベースVLAN | IPアドレスの範囲で振り分け | すでにIP設計が整っている環境 |
| プロトコルベースVLAN | 通信の種類ごとに振り分け | 特定システムの通信を分離したい場合 |
VLANを導入するメリットとは
VLANを導入すると、セキュリティ面と運用面の両方でさまざまな効果が期待できます。代表的な3つのメリットを紹介します。
1. セキュリティ強化(部署ごとにアクセス制限できる)
経理や人事など、機密性の高い情報を扱う部署のネットワークを他部署から切り離しておけば、万が一どこかの端末が不正アクセスを受けても、被害の範囲を限定しやすくなります。ネットワーク全体が一つながりになっている状態と比べ、リスクの広がり方に大きな差が出ます。 来客用に貸し出すWi-Fiと社内システム用のネットワークを分けられるのも、VLANならではの利点です。この点については後ほど、中小企業でよくある場面として詳しく取り上げます。
2. 通信の混雑(トラフィック)を防げる
同じネットワークに多くの機器がつながっていると、通信が混み合い、動作が重くなることがあります。VLANで部署や用途ごとに通信を分けておけば、一部の混雑が全体に波及しにくくなります。 Web会議やクラウドサービスの利用が増えた昨今、オフィスのネットワークにかかる負荷は年々大きくなっています。快適な通信環境を保つうえでも、VLANによる整理は効果を発揮します。
3. レイアウト変更に強い(配線を変えなくていい)
座席移動やオフィス移転が発生しても、VLANであれば設定を変更するだけで新しいレイアウトに対応できます。配線工事をそのたびに行う必要がないため、変更にかかる時間や費用を抑えられます。
小規模なオフィスであっても、組織変更や増員のたびにネットワーク周りを見直す場面は少なくありません。あらかじめVLANを組んでおくことで、そうした変化に柔軟に対応しやすくなります。
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中小企業でVLANが必要になる具体的な場面
VLANは大企業だけの技術ではありません。専任の担当者がいない中小企業でも、次のような場面では導入を検討する価値があります。
来客用Wi-Fiと社内ネットワークを分けたいとき
来客や取引先に貸し出すWi-Fiが、社内システムと同じネットワークにつながっていないか、確認したことはあるでしょうか。「なんとなく同じWi-Fiを使い回している」という状態は、規模の大きくない会社ほど起こりがちです。 来客用のネットワークを社内システムから切り離しておけば、外部の人が使う回線経由で社内情報にアクセスされるリスクを避けられます。
複合機やIoT機器を業務用ネットワークから切り離したいとき
複合機や監視カメラといった機器は、パソコンほど頻繁にソフトウェアを更新しないことが多く、サイバー攻撃の侵入口として狙われやすい面があります。これらの機器を業務用のネットワークとは別のグループにしておけば、万が一のときも影響を抑えられます。 機器の種類ごとにネットワークを分ける発想は、専任のセキュリティ担当者がいない会社ほど有効な備えになります。
クラウドサービス利用の増加でセキュリティを強化したいとき
会計や勤怠管理、営業支援ツールなど、複数のクラウドサービスを併用する会社が増えています。社外とのやり取りが増えるほど、社内ネットワークをどう分離しておくかが重要な検討事項になります。 利用するサービスが増える段階で一度ネットワーク構成を見直しておくと、後から手を加える手間を減らせます。
一人情シス・兼任担当者しかいない会社が抱えがちな不安
「設定を変えて他の業務に影響が出たらどうしよう」という不安から、ネットワークの見直しに踏み切れない担当者は少なくありません。特にIT業務を一人で、あるいは他の業務と兼任しながら担っている場合、その気持ちはなおさらでしょう。 知識や経験が十分でなくても、外部の専門家に相談すれば対応できる選択肢があります。この点については後の章で詳しく紹介します。
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VLANのデメリットと導入時に気をつけたいこと

便利な技術である一方、VLANには気をつけておきたい点もあります。導入前に把握しておきましょう。
設定ミスによる通信トラブル
VLANの設定を誤ると、特定の部署だけ通信ができなくなるといったトラブルが起きることがあります。原因の切り分けに時間がかかり、専任の担当者がいない会社では「気づいたら数日直らない」という事態にもなりかねません。 こうしたトラブルを避けるには、導入時の設計と設定を慎重に行うことが欠かせません。
VLANホッピングなどセキュリティリスクへの対策
■VLANホッピング: VLANの設定の隙をついて、本来入れないはずのネットワークに侵入する攻撃手法
VLANを導入すればセキュリティが万全になるわけではなく、設定に不備があれば、こうした攻撃の糸口になってしまう可能性があります。とはいえ、適切な機器選定と設定を行えば防げる範囲のリスクでもあります。難しい専門知識を自社で抱え込まなくても、信頼できる業者を選べば十分に対策できる点は覚えておいてよいでしょう。
運用に専門知識が必要になる点
VLANは導入して終わりではなく、組織変更や機器の追加にあわせて設定を見直す場面が継続的に発生します。運用のたびに一定の知識が求められるため、専任の担当者がいない会社ほど負担に感じやすい部分です。
VLAN導入の「自社対応と外部委託の違い」を比較
VLANを導入する方法は、大きく分けて自社で対応する方法と、外部の専門会社に任せる方法の2つがあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
社内にネットワークに詳しい人がいる場合
社内にネットワークの知識を持つ担当者がいれば、自社で設計・設定を行うことでコストを抑えられます。ただし、ある程度の知識や経験がないまま進めてしまうと、設定ミスによるトラブルにつながりやすくなる点には注意が必要です。
専任担当者がいない場合の選択肢
専任の担当者を置けない会社であれば、外部の専門会社に設計から構築、運用までを依頼する方法が現実的な選択肢になります。初期費用はかかるものの、トラブル発生時の対応まで含めて任せられる安心感は大きなメリットです。
こうしたネットワーク整備は、パワーサポートのオフィスITインフラ整備サービスのように、LAN工事の一環としてVLAN設定まで対応している専門会社に相談する方法もあります。設計から工事後のサポートまで一貫して任せられるため、社内に知識がなくても導入を進めやすくなります。
| 項目 | 自社対応 | 外部委託 |
| 費用 | 人件費のみで抑えられる | 初期費用+運用費が発生 |
| スピード | 知識・経験次第で変動 | プロによる迅速な対応 |
| 柔軟性 | 担当者の稼働状況に左右される |
規模変更にも対応しやすい |
VLANの構築・設定を依頼する会社の選び方

外部に依頼する場合、どの会社を選ぶかによって満足度が大きく変わります。確認しておきたい4つのポイントを紹介します。
1. 対応範囲を確認
設計から工事、設定、そして導入後の運用保守までをワンストップで依頼できるかどうかは、最初に確認しておきたいポイントです。窓口が分かれていると、トラブル発生時にどこへ連絡すればよいか迷ってしまいます。
2. 自社と似た導入実績
自社と近い規模や業種への導入実績があるかどうかも、判断材料のひとつになります。似た環境での対応経験があれば、自社特有の事情にも柔軟に対応してもらいやすくなります。
3. セキュリティ体制をチェック
プライバシーマークやISO27001といった第三者認証を取得しているかどうかは、セキュリティ体制を見極める一つの目安になります。大切な社内ネットワークを任せる以上、確認しておいて損はありません。
4. 柔軟性や対応までのスピード
トラブルが発生した際に、どれくらいのスピードで対応してもらえるかも重要な確認事項です。気軽に相談できる窓口があるかどうかも、依頼後の安心感につながります。
よくある質問
Q. VLANとは何のために使うのですか? A. 1本の回線やスイッチを仮想的に分け、部署や用途ごとにネットワークを整理するために使います。セキュリティの強化や通信の混雑防止が主な目的です。
Q. ポートVLANとタグVLANはどう違うのですか? A. ポートVLANは差し込み口ごとにグループを分ける方法、タグVLANは1本の配線に複数グループの通信をまとめて流す方法です。拠点やフロアをまたぐ場合はタグVLANが使われることが多くなります。
Q. 設定後に通信できなくなったらどうすればいいですか? A. まずはVLANの割り当て設定に誤りがないかを確認します。原因の切り分けが難しい場合は、設定を行った業者や専門会社に相談するのが安全です。
Q. 無線LAN(Wi-Fi)でもVLANは使えますか? A. 使えます。来客用Wi-Fiと社内用Wi-Fiを別のVLANに割り当てるといった使い方は、中小企業でも比較的取り入れやすい活用例です。
まとめ
VLANは、1本の回線やスイッチを仮想的に分けることで、部署や用途ごとにネットワークを整理できる技術です。セキュリティの強化や通信の混雑防止、レイアウト変更への柔軟な対応など、専任の担当者がいない中小企業にとってもメリットの大きい仕組みといえます。
一方で、設定を誤ると通信トラブルにつながる可能性があり、導入後の運用にも一定の知識が求められます。社内に対応できる人材がいない場合は、無理に自社だけで抱え込まず、専門会社への相談も選択肢に入れておくとよいでしょう。
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